【体験談】忙しすぎる教会のミュージカル(HN:ハミリオンさんの体験談②)

2017年10月22日日曜日

体験談

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 前回「忙しすぎる教会」と題した体験談をシェアして下さったハミリオンさんから、追加の体験談を頂きました。前回の体験談にも書かれていた「年末恒例のミュージカル」の詳細についてです。さて、「忙しすぎる教会」のミュージカルとは、どのようなものなのでしょうか。

 なお今回も、頂いた原文を私フミナルが編集加筆し、ご本人の了承を得て掲載しています。
 ではどうぞ。

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・忙しすぎる教会のミュージカル(HN:ハミリオンさんの体験談②)

 年末恒例のミュージカルは、伝道活動の1つとして重要視されていました。
 このミュージカルに出演するにはまずオーディションを受けるのですが、前回も紹介した通り、出演希望でなくても全員受けなければならない雰囲気がありました。断るのも一苦労です。

 オーディションには何故か「自己紹介」の時間があって、名前だけでなく学校や学年、部活や習い事の有無まで言わされました。そして部活や習い事をやっているとなると、その曜日や時間まで言う羽目になるのでした。

 ミュージカルの練習が始まると、土日祝日は必ず潰れます。学校行事などで参加できない場合は、事前に監督か関係者に連絡して、了承を得なければなりません。無断欠席などしたら出演させない、などと脅迫まがいなことまで言われます。だから友達と遊ぶなど不可能でした。ひたすら練習です。
 そういう状況ですので、受験を控えた中学3年生や高校3年生は、基本的に出演しません。勉強などできませんから。しかし中には出演する人もいました。受験などどうでもいいと思っているのか、あるいは現実逃避しているのか、よくわかりませんでしたが(中にはすでに進路が決まった人もいました)。

 10月に入るといよいよ練習が厳しくなりました。金曜の夜から泊まり込んでの「合宿」状態です。そこでは食事作りの奉仕もあり、教会の姉妹らが駆り出されるのでした。まさに教会を挙げてのイベントです。
 またミュージカルのポスターやチラシが完成すると、全員総出で職場や学校、近隣の店舗などに貼らせてもらいに出向くのでした。出演しようがしまいが関係ありません。また1枚3千円ほどのチケットも友人知人に買ってもらうべく、皆で営業行脚です。これは小学生や中学生が大きなお金を持つことになるので、正直心配でしたが。

 ミュージカルは全て手作りでした。台本や音楽、振り付け、衣装やメイク、大道具や小道具など、全てスタッフによる自作です。それでいて全員無償の奉仕だったと思います。まさに献身を要求されました。ちなみに舞台に出演できるのは高校生までで、高校卒業後は裏方のスタッフとして関わるようになります。ミュージカルに夢中な人たちが、率先して裏方に徹していました。
 ミュージカルのために教会がここまでするのかな、と見ていて疑問ばかりでした。
 ちなみに、ミュージカルによる伝道効果があるのか定かではありません。

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 以上になります。
 私自身、かつて教会で同じようなイベントを経験したことがありますので、何となく情景が想像できます。私だけでなく、おそらくこの手の教会に通ったことがある方なら誰でも、同じような経験をされたのではないでしょうか。

 あくまで一般信徒の目線から言えば、こういうのは「大変だけど楽しい」イベントかもしれません。文化祭をみんなで頑張って盛り上げよう、みたいなノリの。たとえば出演者は舞台に立って「目立つ」ことで満足感を得るでしょうし、裏方はその舞台を「作り上げた」という満足感を得るでしょう。そういう意味で「楽しい」「夢中になれる」イベントなのかもしれません。
 そしてそういう側面がなければ、こんなふうに何年も続かないのではないかな、と思います(もちろん全員が全員楽しんでいるということではありません)。

 ただそれは信徒側の感覚です。こういったイベント自体を主導する側、つまり牧師側の目線は、また違ったものになるでしょう。

 何ヶ月も前から泊まり込んで練習する(時間的献身)、その準備が最優先される(精神的献身)、舞台製作全般を自分たちで行う(物質的献身)、そしてそれら全てを拒否することができない(しづらい)、というこれら一つ一つが意味するのは、牧師への「絶対的従順」です。牧師の指示命令には全員一丸となって従わなければならない、という雰囲気を作り出すのに、ミュージカルなどのイベントは持ってこいなのです。

 信徒たちは「大変だけど皆で頑張るから楽しい」ので、ある程度の満足感があるでしょう。しかし牧師は「全員を従順なコマとして動かせる」から満足するのです。そしてそれを「神への従順」にすり替えているのです。信徒たちは気づきませんけれど。

 つまり、信徒たちはいいように利用されている、ということです。本人たちはなかなかそうは認めないでしょうけれど。ミュージカルなどの「素晴らしいものを作り上げた」という自負がありますから。
 牧師の思惑は、その背後に隠れているのです。
 また「伝道が目的だ」というのも怪しいと思います。このミュージカルにどのくらい伝道効果があったのか、今回の体験談から読み取ることはできませんが、事実、この手のイベントで新しい信徒を獲得できた、という話はあまり聞きません。「やり遂げた」という内輪の満足感で終わってしまうことがしばしばです。
 しかし少なくとも、「信徒たちを服従させて一つのイベントを実行する」という牧師の目的は、見事に達成されているわけです。

 もちろん、こういう牧師や教会ばかりではありません。しかし、こういう牧師や教会はあります。その事実から目を背けてはならないと、私は思いますね。

 再び体験談を投稿して下さったハミリオンさん、ありがとうございました。
 当ブログでは引き続き皆様からの体験談を広く募集しています。これは皆に伝えたい、知らせたい、注意喚起したい、という体験をお持ちの方、ぜひご投稿下さい。お待ちしております。

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